OJTマニュアル / 桜の記憶

書き仕事が詰まっています。

 

昨日、朝5時までかかって、依頼されていたOJT(職場内研修)マニュアルのたたき台を完成させました(厳密には、5時に諦め、3時間眠って11:00amに完成させました)。来週の木・金は札幌に出向き、マニュアル作成チームとともに2日間かけて内容をブラッシュアップ、その後、イラストレーターに依頼し、4月中に納品となります。月火は長崎で仕事なので、南から北へと、桜前線を追い越して日本列島を縦断します。

 

今回依頼を受けたのは、この10年で構成員が10歳以上若返ったという組織でした。アンケートやその他の調査を反映させ、育成方針をどのように具体化するのか、イメージしながら作成しました。

 

通常、OJTは、職場における業務知識の習得を目的とするものです。

しかし、よくある「知識・技術の承継」だけで良いのか。団塊の世代とそれに続く層の大量退職のため、現在の管理職層はかなりお若いというデータが気になりました。きっと、これは多くの企業でも起きている問題です。

 

大きな組織が機能不全になる原因は様々ですが、組織文化・風土はなかなか手を付けづらい部分です。OJTは人材育成の一環である以上、新しい人材を育て、職場に影響を与え、組織を変える手段になるはず。前例を検証し、澱のように溜まった旧弊を打破してもらいたい。

 

そんな思いもあり、OJTマニュアル作成においては、「新たな知の創造」「新たな組織(職場)文化の創造」を目的のひとつに入れました。意識調査アンケートで「急激な時代の変化を取り込む必要」のポイントが大変高かった点をどうにか反映させたい思いもありました。

 

札幌では、優秀な3名のコンサルタントの方たちと共に、たたき台のワード文書を映写しながら、その一字一句を詰めていくことになると思います。そんな時間も楽しみにしています。もちろん、夜の楽しく、美味しい宴会も。

 

     

 

朝からの雨模様が嘘のように晴れ渡った今日の午後、近くの図書館に犬の散歩を兼ねて桜を見に行きました。

桜は咲いて空を染め、散って地を染める。一週間後、またこの場所を訪れたら、きっと地面は桜色に染まっていることでしょう。

 

1歳のパピヨンに桜はどう見えているのでしょう。空気に漂う桜の香りを覚えているでしょうか。来年連れてきたら、彼女はこの桜を記憶のどこかから引っ張り出してきてくれるのでしょうか。


私も、OJTマニュアルを作成するために徹夜したことをいつかずっと先に、桜の花と共に思い出す日が来るかもしれません。

 

そんなことを考えながら、夕刻の散歩を楽しみました。

 

 

人材・組織開発コンサルタント・研修講師 後閑徹

 

 

 

 

 


「働き方改革は個人の能力の問題ではなく、組織の問題だ」から始めよう 

 

「そんなことしても、他の日の労働時間が増えるだけのこと」「仕事量が変わらないのにどうすればいいのか」

 

蠑床偲鉄錙文宗Ε僖淵愁縫奪)が、1960年(昭和35年)に、「5年後に週休2日制を導入する」と宣言した時の声です。働き方改革に取り組む現在と同じ声が、既に今から50年以上前に、あちらこちらで発せられていたようです。

 

海外視察通じて、国際競争に打ち勝つためには能率を高める必要があることを痛感した松下幸之助氏が、「1日休養、1日教養」をスローガンに断行した週休2日制は、当時、欧州でさえ一般的ではありませんでした。しかし、この取り組みはその後広がり、他の民間企業は1980年(昭和55年)頃、官公庁は1992年(平成4年)に完全週休2日制に移行します。

 

当時、松下幸之助氏は、「10分の電話を3分にする等の努力をして取り組む必要がある」という言葉を残しています。今の言葉でいえば、「業務を抜本的に見直し、改善することを通じた働き方改革を実施する必要がある」、となるでしょうか。

 

今年1月、蠧本電産の永守会長兼社長が、最新のロボットの導入やAI(人工知能)・IoT(モノのインターネット)の利用により「2020年までに売上倍増(2兆円)・残業ゼロ」を目標に掲げ、世間を驚かせました。

 

松下幸之助氏と同様に、ビジネスの拡大とともに無駄を排除し、働き方改革を推進しようという考え方です。人間では不可能な改善余地の洗い出しをAIを使用して行うビジネスも始まり(日立製作所その他)、最早、働き方改革・時間外労働削減のために業務改善の必要性を否定する者はいないでしょう。

 

【本当に業務改善が時間外労働対策の主戦場なのか】

継続的な業務改善の必要性は認めるとして、現在の時間外労働の削減の主戦場は果たして、業務改善となるのでしょうか。

 

昨年に発表された「平成28年版 過労死等防止対策白書」に「所定外労働が必要となる理由」が掲載されています。厚生労働省による民間企業を対象にしたこの調査では、時間外労働の原因を企業側と労働者側の2者の観点から調査しています。それぞれの立場からの理由の上位3項目は下表の通りです。

 

〈所定外労働が必要となる理由〉

 

企業側の理由

労働者側の理由

1位

顧客からの不規則な要望に対応する必要があるため(44.5㌽)

人手が足りないため(仕事量が多いため)(41.3㌽)

2位

業務量が多いため(43.3㌽)

予定外の仕事が突発的に発生するため(32.2㌽)

3位

仕事の繁閑の差が大きいため

(39.6㌽)

業務の繁閑が激しいため 

 (30.6㌽)

※「平成28年過労死等防止対策白書」第2−7・2−8図を元に筆者作成      

参考URLhttp://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/karoushi/16/dl/16-1-2.pdf

 

  ※クリックすると画像が大きくなります

 

【組織の問題を個人の能力の問題にすり替えていないか】

興味深いのは、企業側の理由です。そこには、労働者側の理由に上がっていない、「スケジュール管理のスキルが低いため」、「マネジメントスキルが低いため」、「労働生産性が低いため」という理由がありますが、それぞれ6.3ポイント、4.9ポイント、4.4ポイント、と極めて低い数値となっています。すなわち、企業側としても、仕事の進め方や管理の仕方の問題を時間外労働の主たる原因とは考えていないのです。

 

企業の場合、最早、「10分の電話を3分にする」ことが主戦場ではないのです。

 

時間外労働の理由として上位に挙がっている、「業務量が多いため」「人員が不足しているため」「仕事の繁閑期の差が大きいため」「顧客からの不規則な要求に対応する必要があるため」は、それぞれの組織において、管理監督者層が取り組むべき組織上の問題に他なりません。研修やコンサルティングの際によく話すことですが、「組織は、組織の問題を個人の能力の問題にすり替える」傾向があります。

 

果たして、時間外労働の旗振り役を担っている部署では、その真の原因を、分析してみたことはあるでしょうか。安易に「業務改善をすれば、時間外労働の削減が成る」「残業抑制は個人の努力の問題である」と捉えてはいないでしょうか。もし、そうであれば、これは、まさに「組織の問題を個人の問題にすり替えている」以外の何物でもないように思います。

「働き方改革は個人の能力の問題ではなく、組織の問題である」をスタートにしないと抜本的対策にはならないはずです。

 

人材・組織開発コンサルタント・研修講師 後閑徹

 

 


LA LA LAND / 「人間の土地」(サン・テクジュペリ)

先日、日本橋でLA LA LANDを観てきました。21時半スタートという遅い時間ながら、館内は満席に近い状態。

アカデミー賞作品賞は惜しくも逃しましたが、音楽、ストーリーともにとても素敵な映画でした。

 

(以下、内容の記述あり)

 

  


さくらいろ / ダイバーシティの難しさ

 

昨日、ふと空を見上げると、桜の樹々がほのかに桜色を帯びているように見えました。

そして、30年ほど前に朝日新聞紙上に掲載された大岡信氏のエッセイを思い出しました。毎年、この時期になると思い出すエッセイです。

 

開花を待つ桜の樹皮を削り、煮出して布を染めると心が湧きたつような鮮やかな桜色になると草木染作家の方が教えてくれた。桜の樹は、樹に桜色を蓄え、ある時、一斉にさくら色の花を咲かせるのだ、といった内容だったと思います。

 

昔、匿名でブログを書いていたとき、この話を書いたら、その話は教科書で読んだことがあります、と教えてくれた方がいました。

私が心を震わせたエッセイが、社会に認められたようで、とても嬉しかったことを覚えています。

 

 

開花を待つ

 

先月、滋賀のとある場所で、ダイバーシティ研修を担当しました。研修といっても、400人強の方々を対象に90分でする講演です。

90分という短い時間の中で、基本から説き起こし、単なる理想ではなく、現実に職場で実現すべき課題であることを理解し、行動に移していただけるよう、構成に腐心しました。

 

講演の中で、お伝えしたかったことのひとつは、「多様な価値を受け容れる」ということは、同時に「自らも変容する」ことを伴う、ということです。相手に向き合い、自らに向き合い、お互いに影響し合うことは、決して簡単にできることではありません。特に、年を経て、経験と実績を積んだ方々は、往々にして、相手を自分の色に染めがちなのではないでしょうか。それは、「多様性を受け容れる」のではなく、自分の価値に相手を染めることに他なりません。白に赤とオレンジを足していくと、鮮やかな桜色が出来ます。赤が白を飲み込んでしまえば、赤にしかなりません。

 

多様性を受け容れる、自分の価値と異なるものを受け容れるということは、受け入れるマインドをもつことではなく、「自らも変わる覚悟」をもつことに他なりません。

 

 

 

先日、10数年ぶりにビジネススクール時代の恩師に会いに行ってきました。

既に当時勤めていた大手損害保険会社の役員も退かれ、いくつかの大学やビジネススクールで教鞭をとっておられる恩師が、こんな話をしてくれました。

 

仕事の上で、頼りない人間も、家庭に帰れば誰かの大切なパートナーであり、親であるかもしれない。相手は、そういう責任を負っている人間なのだということを忘れず、育てていかなければいけない。

 

相手も一個の人間であると、真に尊重するには、不断の努力が必要です。そして、相手がどのようなものであれ、まずは、その価値に照らし、自分を見つめることが重要です。

 

桜の樹が心を震わせるような桜色に満たされているように、それぞれの樹がそれぞれの色に満たされています。その色を、無下に扱うことは誰にもできないはずです。

 

ダイバーシティとは、身近な職場で実現する問題なのです。

 

 

後閑徹

 

 


 

 

 


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