女性活躍が進むために

8月28日、女性活躍推進法案が参議院で可決・成立しました。
 当該法律は企業に課題探索・行動計画の策定・数値目標や実施状況の可視化等、様々な規制をかける法律です。
これで晴れて(?)、「女性活躍推進」も明確に社会的課題となり、「企業の社会的責任(CSR)」の対象となりますね。

では、企業がこのような「社会的課題」に対し積極的に行動をするためにはどのような条件が必要でしょうか。

この条件を環境問題への企業の対応・行動から抽出・調査したことがあります。2007年、環境問題が社会で大きなトピックスになっていた時期です。

その調査で抽出した条件を単純化すれば以下の3点となります。

1.行政の規制・誘導
2.課題解決への経営トップのコミットメント
3.経営と課題解決の一致(課題解決を収益(あるいは組織メリット)との同一化)

これを女性活躍推進に当て嵌めてみると…。

1について
第4次男女共同参画基本計画素案では至る所に「数値目標の設定」「進捗状況の公表」が謳われています。いわゆる取り組み状況の可視化です。 その上で、々埓による顕彰・ホームページ上での紹介(≒権威付け)により、女性活躍推進に積極的な企業のブランド価値の向上への協力公共調達への反映、といったインセンティブとします。
規制より誘導。最近よく見られる行政の手段です。

※環境問題は長い時間をかけ「改善しなければならない課題である」という認識に集約されていました が、女性活躍推進は未だに男性・女性・年配者とそれぞれに温度差があるように思います。とすれば、「女性を積極的に登用している」ことがどれだけブランド形成に寄与するのか、インセンティブになるのか、少々疑問が残ります。

2について
最近インタビュー調査をさせて頂いた上場企業の方に、「うちのトップは政府からの要請、法律で決まったことであればステークホルダーの一員として当然クリアーしければならないミッションと思っている」という声を聴きました。
この課題が組織改革を伴う課題であることを考えれば、トップによるより強力なコミットメントが必要不可欠です。

3について
つい先日、勤務間インターバル制を導入したKDDIは仕事柄からもともと女性が多く、女性の戦力化が必要不可欠でした。以前から女性管理職の登用も積極的に進めていた企業です。ひと昔前の資生堂も同様に女性従業員のセールス・マインドを向上させるために女性に配慮した様々な施策をとっていました。
 しかし、これではまだ収益との関連は曖昧です。女性を多く使う業種だけが配慮するという域を出ないことになりかねません。

厚労省の外郭団体21世紀財団は平成15年「女性が活躍できる風土をもつ企業の利益率は高い」との調査結果を出していますが、残念ながら「女性比率の多さと企業の利益率(調査ではROE:自己資本利益率)に正の相関はない」という結果になっています。

女性の優秀さは、多くの男性も認めるところ。その優秀さを如何に経営に生かすか。
単純に就労継続率を上げたり、管理職比率を上げるだけで組織メリットになるとは限りません。

如何に経営と課題解決(女性活躍)の一致を図る絵を描くか。この点を各企業で模索する必要があります。
女性の継続率・管理職比率を上げること自体が目的となると、女性活躍推進は形骸化する危険があります。

Redesign Academia 後閑徹



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